海賊と呼ばれた男の後継者(2015/3/9)

震災のような災厄、政治家次第の税制、急激な為替変動など、私たちのビジネスは理不尽な社会環境に否が応でも振り回される。

そんなコントロール不可能な外部環境に翻弄されながら、なんとか生き延びる方策を考え、社員に対して希望を掲げるのが経営者の役割だ。

戦略は環境に対して受け身にならざるを得ないとは三品先生の言だが、愚痴の一つも言いたくなるのが人間。

そんな愚痴っぽい精神に喝を入れるには、半端ない環境変化の中で頑張っている企業を眺めるのがよいのではないか。

 

そんな思いで勉強会の題材に取り上げたのが出光興産。

『海賊と呼ばれた男』のモデルである出光佐三氏が100年ほど前に創業した石油元売り業の雄である。

石油危機やCO2規制など、幾度の逆風を潜り抜けてきた。

石油メジャーを頼りにせず、政府を頼りにせず、他社を頼りにせず、独立独歩で歩んできた。

逆風の激しさと業績の振れ幅の大きさを見ると、たいていの会社の逆境はなんとかなりそうな気がしてくる。

 

ところが、最大の経営危機は、外的環境によるものというより、歯止めの利かない過剰投資によるものだったことを知って驚く。

敵は我にあり、だ。

失敗は「尊い授業料」として許容されるべきものという精神で、事業部門の投資案に逆らえない経理部門。

創業者は外部資本を嫌ったので、株式公開はおろか増資すらご法度という暗黙の縛り。

2兆円を超える借金を抱えながら資本金が10億円というありえない財務状態で、首が回らなくなったのが90年代後半。

 

それを救ったのが、経理部門から社長になり、株式上場などの事業改革を成功させた天坊昭彦氏である。

創業者の理念は、その当時の時代環境を踏まえてつくられる。

その背景にあるロジックを踏まえずに表面の理念だけを唱えて合理的な行動を束縛するなら、宗教の原理主義者と変わらなくなる。

そんな欺瞞を喝破し、社内(先輩役員含め)や創業家に対して粘り強く交渉し、企業理念を再定義し、内部から構造改革を行った天坊氏は、どれだけ賞賛しても賞賛しすぎということはないだろう。

 

想像を絶する面倒くささ、周囲の無理解、こころない誹謗中傷があったはずである。

そのような難事業をやりきるには、「職業人の倫理感」や「使命感」といったある種の目的論を超えた、全人格を賭した人間としての生きざまに依らなければならないだろう。

出光佐三さんがそうであったように、天坊さんもそのような人であったに違いない。

企業理念を正しく継承する人とは、その理念を変えられる人でもあるということだ。

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