人材覚醒経済

前回のまーけん(マーケティング研究会)で取り上げたのは『人材覚醒経済』(鶴光太郎、2016年)。

各国の労働法制を比較して「働き改革」の処方箋を提案する、骨太の論文と言ってよい書籍。

タイトルは、日本企業は人材のポテンシャルを生かし切れていないので企業が人材の重要性に覚醒し、個々の人材が覚醒すれば日本経済が覚醒するという意味である。

著者の思いに全面的に賛成する。

 

自社で開発した文章解析プログラム「本の成分」が代表的文章として抽出したのが次の一文。

「第1章でみたように、無限定正社員システムが様々な雇用・労働問題と密接に関連していたことを考えると、ジョブ型正社員はこうした問題を解決する上で重要な役割を果たすことはいうまでもない。(57ページ)」

これが同書の主要な論点であることは、通読した後の印象とも合致している。

 

キーワードは「無限定正社員」と「ジョブ型正社員」。

無限定正社員とは聞きなれない言葉だが、一般的に総合職と呼ばれる社員。

特定の仕事に就くことを条件としない正社員で、昇進・昇格に制限がない代わりに、勤務地なども選べない。

一方、ジョブ型正社員とは仕事内容の範囲が定められており、勤務地を限定したり、勤務時間を限定したりする雇用の仕方である。

既にこうした社員は増えており、無限定正社員に比べて満足度が高いという調査結果が示されている。

無限定正社員が陥る、家族や自分の生活を犠牲にして「何でも屋」として会社にしがみつく働き方から、自分の腕を信じるプロとしてプライベートも重視する働き方に移行することを著者は提唱している。

 

この主張に大いに賛同した上で、会社側の課題を指摘したい。

「何でも屋」であることは、社内での自由な人事異動を可能とし、柔軟な組織づくりに貢献してきた反面、多数の「素人」を出現させ、低い生産性の原因にもなっていると考えている。

日本のホワイトカラーの生産性が低いと言われるゆえんである。

したがって、「限定」の範囲は勤務地や勤務時間だけでなく、職種についても考えていくべきだろう。

職務の範囲を限定してプロとしてのキャリアを積み、知識・経験の厚みを持った社員を育成する職種別採用を主流とする。

その上で、経営者の仕事はそもそも無限定なものであるから、次代のリーダー候補にはジョブ限定を解除する必要がある。

30代くらいの時点でリーダー候補を見極め、本人の意向を踏まえて働き方を選択させるのが良いだろう。

 

この会社に勤めればプロになれる、この会社のマネジャーであればリーダーの素養がある。

このような評判のたつ会社にすることが、競争力向上に直結するはずだ。

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