本業を革新すること(2018.3.12)

土曜日は桜橋ビジネス勉強会の17回目、「今、ヤナセを何を売っているのか」を開催しました。

ヤナセは、戦後日本に駐留していた外国人に自動車を販売することから、輸入車販売事業発展の端緒をつかみました。その後、自動車だけではなく、外国人から要求される海外の家電製品や住宅設備の輸入販売に業容を広げていきました。お客さんは共通しているので、扱い品種を広げて言っても、そこには事業のシナジーがあるという判断だったと思います。

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その後、1977年には有名な「いいものだけを世界から」というキャッチフレーズを作り、輸入商社としての立ち位置で事業拡大を進めていきます。しかし、メルセデスベンツやフォルクスワーゲンといった、人気の外国車以外の事業はうまくいきませんでした。家電や住宅設備などの商品には当以前ながらライバルがいるわけで、それぞれの市場での競争環境を考慮せずにビジネスを展開していたように思います。

80年代に入ると、メルセデスの輸入権を失い、小売ディーラーとしてのビジネスに注力することになります。また、フォルクスワーゲンに関しては輸入権も販売権も失い、業績の悪化の大きな原因になりました。代わりの商品として、オペルやサーブの販売を始めますが、長続きしません。残念ながら、それらはメルセデスやワーゲンほどの人気商品にはなりませんでした。

一時は赤字が続き、事業存続も危ぶまれましたが、伊藤忠商事の支援を受けて現在は業績が回復しています。引き続き、メルセデスの新車ディーラーとしての顔もありますが、販売台数の販売半分以上を中古車が占め、メンテナンスサービスにも力を入れてカーライフ全般をサポートするというビジネスに変化を遂げています。

勉強会での議論を通じ、次のようなことを私個人として再認識しました。

①シナジーという言葉は危険
新事業を立ち上げる時、既存事業と何らかの関連性があれば「シナジーがある」とみなされ、事業展開の合理性を示す根拠になります。それはたしかに必要条件ではあるかもしれませんが、市場で勝ち抜ける理由になるわけではありません。シナジーは決して十分条件ではないことを忘れてはいけません。

②競争環境をクールにみる
新しい事業は常に既存市場に割って入るわけですから、手ごわい競争相手との競争になります。競争相手の力量や今後の出方をクールに議論に乗せ、作戦を立てる必要があります。地に足をつけた事業とは、これを真摯に議論したものです。新規事業を活発に展開し、成功する確率を高めるためるためにも、この議論の習慣をつけたいものです。

③撤退基準を明確にする
梁瀬次郎さんという、若くして社長に就任したカリスマ経営者が立ち上げた事業をおいそれとたたむのは困難だったと想像できます。それを乗り越えるには、言い古されたことですが、明確な会計的基準を設けることでしょう。事業の撤退は「失敗」ではなく、市場社会の中では当然起こりうる「過程」です。進出と撤退を繰り返しながら、会社全体として収益の安定と成長を実現していくことがあるべき姿だと考えます。

④本業を革新すること
ヤナセがいくら販売力に自信があったとは言え、玉石混交の輸入車ならなんでも売る、という姿勢は顧客志向とは言えません。その意味では、「いいものだけを世界から」を標榜しておきながら、こと本業の車に関してはよい車を目利きしてお客様に届ける、よいカーライフを提供するという基本的な顧客価値を見失っていたと言わざるをえません。
結果的に、中古車流通を含めた「保有車事業」で、富裕層だけではない顧客のカーライフのサポートに集中することで、本業を再建しました。多角化で戦線を広げていくこととは独立した観点で、本業の価値をいかに磨き続けていくか、本業の革新をどう進めていくかが経営の根幹であると考えます。

 

以上、ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

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