出光興産と昭和シェル石油 (2018.7.22)

かねてから話題になっていた出光興産と昭和シェル石油がようやく統合するようだ。

統合には大株主の創業家が反対をしていて、しばらく暗礁に乗り上げていた案件。

経営統合に反対していた創業者一族を説得した功労者が、村上ファンドの村上世彰氏と聞いて驚いた。

週刊ダイヤモンドによると、自社株買いで株価を支えるとともに、株主への配当を増やす条件を経営陣にのませ、株主側も納得したとのこと。

株主と経営者の落としどころの具体策をつくり、根気よく説得して結果を出したことは、”アクティビスト”村上氏の面目躍如たるところだろう。

 

出光興産は、創業者の「海賊と呼ばれた男」出光佐三氏の教えを忠実に守ってきた会社である。

経営者と従業員の相互信頼を重んじて、今でも労働組合はない。

なかでも資本政策はユニークで、投資目的の株主は害悪という発想から長らく増資はせず、きわめて少ない資本の元で経営を行ってきた。

経営危機に陥った93年当時、有利子負債が2兆5千億円もあったのに、資本金はたったの10億円。

なんとか当時の社長の天坊昭彦氏の尽力で増資し、その後株式上場を果たしてようやく事業規模に見合う資本構成となった。

 

その資本増強の際にも抵抗勢力だったのが創業家である。

創業者の理念を忠実に守りたかった、というのがその理由。

今回、村上氏が提案したのは大株主(=資本家)の利益を増やす提案である。

報道によると、今後も経営陣は株主の意を得た”アクティビスト”の意見をないがしろにはできず、経営の自由を奪われたのではないかと危惧されている。

まさに佐三氏が警戒していた資本家の悪さであり、その資本家が自分の子孫であるとは歴史の皮肉である。

 

それでも、佐三氏の理念が善で資本家が悪とするのはあまりにセンチメンタル過ぎるだろう。

今回はお金と経営の折り合いをつけた村上氏のアイデアが、ダイナミックに経営を動かした。

プラグマティックな現実解を探ることが、いつのときでもビジネスに対する基本的態度である。

出光佐三氏のすごさも、その理念ではなく、現実解を探る思考力と驚くべき行動力に求めるべきだ。

次は、経営陣がどのような現実解で巨大な企業とうるさい株主のかじ取りをしていくのか、関心をもってみていきたい。

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