社内ベンチャーの意義 (2020.9.23)

製品や事業にはライフサイクルがあり、栄えたビジネスもいつかは衰退する。

その危機感が、企業を多角化に向かわせます。

安定してキャッシュを稼ぐ「金のなる木」から、投資が必要な「花形製品」や「問題児事業」にお金や人材をまわし、将来の事業基盤を築いていく。

企業単位で事業のポートフォリオを構成する、ボストンコンサルティングの古典的なPPMの考え方です。

 

最近の投資家の言い分は、これとは違うようです。

本業の収益性を磨くことが経営の本分で、新たな事業に手を出すくらいなら自社株買いなどで株主に資金を還元すべきだというものです。

餅屋は所詮、餅屋。餅しか上手に作れないのだから、へたくそな事業に手をかけるべきでないと。

株主は還元された資金を他のベンチャー企業などに投資することで、ポートフォリオを構成します。

企業単位ではなく、社会の単位で企業が新陳代謝してくのが合理的だという考え方です。

 

これはこれで問題があります。

ある会社の経営者が、座して事業の衰退を待つというのは現実的ではありません。

その端的な解決手段は、事業会社が投資家のようにふるまうことです。

企業買収によって事業の幅を広げ、リスクを回避する。

ホールディングス会社をつくり、事業会社を傘下にぶら下げ、事業のポートフォリオを構成する。

多くの企業がこのような経営を志向しています。

 

このやりかたも、別の問題があります。

本業で働く従業員の立場からすれば、結局は他の事業を外から導入するだけで、自分の雇用は危うくなるからです。

投資家や経営者は事業のポートフォリオを組むことは可能ですが、従業員個人は分身でポートフォリオを組むことはできません。

いずれノウハウやスキルが通用しなくなります。

その克服は自助努力と言ってしまえばそれまでですが、雇用の調整はお金の移動ほど早くは進みませんから、投資家や事業家のリスクを従業員に転嫁しているということもできます。

 

かくして課題は、事業の新陳代謝と個人の長期キャリアをいかに両立させるかということになります。

本業に従事する個人のスキルやノウハウを、いかに新たな事業に転用できるように準備するか。

その施策のひとつが社内の人材で新たな事業を起こす社内ベンチャーです。

本業のリソースを活用しながら、他社のリソースも借り、理念に適した事業を開発する。

運がよければ新たな収益の柱を築くことができるでしょうし、そうでなくとも、活動を通じて得られた知見が本業の競争力向上に貢献するでしょう。

 

社内ベンチャーは、新事業開発なのか、人材育成なのかという議論が常に起こります。

答えは「どちらも」でしょうが、たとえコストがかかり、投資家の意に反するとしても「持続可能な組織」を目指すうえで不可欠だと思います。

本業に専念している人でも、自分と同じ本業のスキルとメンタリティーを持った「同志」が果敢に新規事業に臨む姿を見て、自分の将来の可能性も見出すことができるはずです。

少なくとも、人間は機械とは違って、「効率」だけを目指すわけにいかない生き物だと思います。

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