『貨幣進化論』を読む 2017.5.10

電子マネーやビットコインについて考えようと思ったら、まず貨幣とは何ぞやが分からないと先へ進めそうになかったので、岩村充『貨幣進化論』(新潮社、2010年)を勉強会で読む。

入門書ではあるが情報が詰まった筋肉質で歯ごたえのある本。

読み終わると、お金が単なる紙切れに思えてくる。

なんでこの紙を特別な意味があるものとして、疑いもなく認めているのだろう。

 

金貨のような物理的価値のない紙幣は、もともと金や銀などと交換できる証書のようなもの。

いつでも交換してもらえるという信頼があって「現金」としての価値が生まれた。

いつしか広く行きわたり、金銀と引き換えられないようになってもみんなが価値を認めているということで、財の交換手段として確立した。

 

その背後には、アカンことした奴を罰する国家権力とお金の価値を守る中立的で賢い中央銀行の存在、そしてそれらに対する私たちの信頼がある。

特に、国の行政機関ではありながら、政府からは距離を置いて仕事をする中央銀行の「良識」に貨幣の価値は大いに依存している。

かなり危ういバランスの上にある社会のシステムだ。

 

ハイエクさんは「貨幣発行自由論」というのを唱えていて、誰でも貨幣を発行できるようにした方が、インフレを起こして貨幣価値を損なうようなへたくそな貨幣発行業者が淘汰されるのでよいとしている。

日銀券より「みずほ券」や「三井住友券」の方が安定しているからそっちを持っておこう、という判断ができるようになるということだ。

今でも国を越えれば、円で持っていた方がいいとかドルで持っていた方がいいとかの判断ができる。

そういうことを国内でも可能にすべきということだ。

 

ひとつの国にはひとつの通貨という、当たり前のように考えている社会制度も実は可変である。

こういう議論の延長でビットコインを考えると、面白い思考実験ができそうだ。

そういうわけで、次回の課題図書は同じ著者の『中央銀行が終わる日 ビットコインと通貨の未来』(新潮社、2016年)。

それにしても著者の岩村さん、相当の頭脳の持ち主だな。

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