COMPANY's Dr. LOG

桜橋ビジネス勉強会

ポータブルスキル

 

土曜日の桜橋ビジネス勉強会で、京都産業21のニシムラさんから、副業者と中小企業のマッチングサービスの実態をおうかがいした。
一般の労働市場は人手不足で売り手市場だが、こと副業においては買い手市場だそう。
副業募集の情報を流せば、多くの人の手が上がる。
他流試合で腕試しをして、スキルを上げたいからである。

かくして、かなり高レベルなスキルを月5万円程度で活用することができる。
雇用契約ではない業務委託契約にすれば、煩雑な労務管理は不要。
働き手にとっても、企業側にとっても、ゲームチェンジャーの兆しが見える。

副業の担い手はポータブルスキルが要る。
知識や経験を基にしつつ、固有の状況に適応しなければならない。
協調性やコミュニケーション能力、論理的思考力、問題解決能力など、 業務内容に左右されず、どんな状況でも発揮できるスキル が求められる。
依頼主は何かを変えたいのだろうから、それらに加えて革新的マインドもほしいところ。

活用する企業側もスキルが要る。
稼働時間の短い副業人材とは言え、いや、だからこそ、明確なタスク設定と成果の評価能力が必要だ。
丸投げはうまくいかないらしい。
副業人材を登用したもののうまく活用できず、そこにまたリーダー役の副業人材を投入した例もある。
笑い話のようだが、かなりリアルな話だと感じた。

それでも、マネジメント役の副業人材と既存組織の「誰か」はうまくコミュニケーションしないといけない。
中小企業の場合は経営層の仕事だろう。
うちのやり方はこうなんだけど、という押しつけには限界がある。
中途入社者なら時間をかけて「染め直す」こともできるが、副業人材はそうはいかない。
互いの対話の中で、うまいやり方を探る必要がある。

結局のところ、副業人材を使う方にもポータブルスキルが必要なのではないか。
副業者を含む多様な人々と仕事をするためには、みんなが理解し合える共通のロジック、効果的・効率的なコミュニケーションモード、相手をリスペクトする心といった、共通のインターフェイスが必要だ。
閉ざされた蔵の中に自生した、カビの生えた特殊な仕事の方法論は通用しない。

副業が働き方改革の推進エンジンになるとすれば、蔵にこもった経営者を”社会の日向”に引っ張り出すことかもしれない。
ポカポカしたお日様の下で、カラッとした風通しの良いマネジメントスタイルが育つことを願いたい。

一覧へ戻る